2012/02/01
もらっといてやる
先日芥川賞受賞の田中慎弥さんの『共喰い』。
会見であのキャラを出してしまった為に話題になった本書を読んでみました。
内容としては昭和63年、17歳の遠馬は、怪しげな仕事をしている父とその愛人・琴子さんの三人で川辺の町に暮らしていた。別れ た母も近くに住んでおり、川で釣ったウナギを母にさばいてもらう距離にいる。日常的に父の乱暴な性交場面を目の当たりにして、嫌悪感を募らせながらも、自 分にも父の血が流れていることを感じている。同じ学校の会田千種と覚えたばかりの性交にのめりこんでいくが、父と同じ暴力的なセックスを試そうとしてケン カをしてしまう。一方、台風が近づき、町が水にのまれる中、父との子を身ごもったまま逃げるように愛人は家を出てしまった。怒った父は、遠馬と仲直りをし ようと森の中で遠馬を待つ千種のもとに忍び寄っていく….。川辺の町で起こる、逃げ場のない血と性の臭いがたちこめる濃密な物語。
文章の密度が高く、描かれる世界が明確であり、久しぶりに純文学作品を読んだ気がしました。
田中さん自身も興味深いですが、それ抜きにしてもとても満足いく作品だったのではないかと思います。

